山王株式会社様 / 橋梁伸縮装置の新技術「ジョイント和」について 日本大学生産工学部 阿部名誉教授インタビュー
企業サポート取材
日本大学生産工学部へ
千葉県習志野市にある
日本大学生産工学部へ出張です。
今回は、山王株式会社(熊本市)が開発した
橋梁伸縮装置「ジョイント和(なごみ)」
についての取材で
名誉教授の阿部忠先生にインタビューするため
はるばる熊本から行ってまいりました。
日本大学生産工学部
阿部忠名誉教授
阿部名誉教授は、
日本橋梁メンテナンス協会の
理事長で、
熊本県メンテナンス協会の
顧問もされています。
コンクリート構造に関する特許も
複数お持ちで
土木学会のフェロー会員という
構造工学、橋梁工学、維持管理工学の
プロ中のプロ。
素人の私にも分かりやすく
ご説明くださいました。
さて、インタビューの内容に戻りましょう。
このほど、山王株式会社と阿部名誉教授が
開発した橋梁伸縮装置「ジョイント和」について。
橋梁伸縮装置とは、橋と道路を繋ぐ伸縮ゴムのこと。
通常、橋はコンクリートか鋼製で
構成されていますが
気温などの影響で橋の桁の長さは
実は一定ではなく、伸び縮みするそうです。
そのため、橋と道路は完全に密着していません。
そこを繋ぐのが伸縮装置。
橋にとってかなり重要なものです。
従来は、
伸縮装置設置の時に
橋の本体に穴を開けて
ハンマーで
鉄の棒を差し込む方法が
とられており、
設置の際にどうしても
橋の本体にヒビなどの損傷が
入っていました。
この問題を軽減するのが
新技術の「ジョイント和」
新技術は、伸縮装置本体に
荷重分布鋼板を設けることで
一点に力が入りすぎていたものを
全体に分散させることができるように
なりました。
狭い範囲にハンマーを打ち込むのと
大きな範囲で支えるのとでは
損傷の度合いが異なり
また、荷力に耐える能力も
向上したそうです。
日本の橋梁補修について
この新技術、熊本県の橋にも
すでに採用されているそうです。
熊本地震や令和2年7月豪雨で
多くの橋が壊れてしまった熊本県。
インフラの重要性を痛感していたので
今回のインタビューで阿部名誉教授の
お話を聞き、
「生活者である私たちにとって
橋梁補修というのは
暮らしに密着している大事な事柄だ」
と思いましたし、
これまで「あって当たり前」と思っていた
橋について、もっと興味深く感じることが
出来ました。
「耐震」と「補修」はしっかりと。
また、阿部名誉教授は
「車などの【上からかかる通常の力】
に対応する補修だけではなく
地震での【下からのねじれの力】に対応する
耐震も必要です。」
とおっしゃっていました。
地方公共団体が
管理するものについては
予算の関係などもあり、
地方によっては
予防的な措置が
難しいところもあるそうです。
私たちの暮らしに欠かせない【橋】
新技術の活用で省力化や合理化が
進み、安心できる橋が多くなることを
願っています。